やぎりん日記

やぎりん!こと、作曲家の八木澤教司の日記です! 日々の体験や感じたことを書いていきます!
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Archive for 5月, 2010

台湾よりメール!

5月 12, 2010 By: S.Yagisawa Category: 日記

今日は尚美ミュージックカレッジ専門学校の出勤日。お昼休憩が40分であるため事務的なことをしているとすぐに時間切れになってしまう。今日も学生さんとトーキングをしていたので残り30分。ということで外食をするには時間が微妙であったため恩師である佐藤正人先生と一緒にバリオホールの楽屋にてお弁当!学校の近くのローソンより入手。そして1月に行われた尚美ウインドフェスティバル2010の抜粋版のCDも完成したようで頂きました。これは今週末より行われる日本吹奏楽指導者クリニックで全面的に無料配布されるものですが、私の客演指揮を務めた【サクソフォーン小協奏曲】(独奏:中村圴一先生、1年生バンド)も収録されていました。小澤俊朗先生、加養浩幸先生、佐藤正人先生、高梨裕久先生の指揮する4つのバンドに加え、フルートの渡辺泰先生、ユーフォニァムの齋藤充先生による協奏曲も収録されるなどで例年以上に盛りだくさんの内容になっています。尚、響宴の関係もあり今年も私は日本吹奏楽指導者クリニックに伺うことにしました。基本的にウインドアート出版のブース近くで神長一康社長のお手伝いをすることになっていますので、お気軽にお声をおかけください。ちなみに大人気の“やぎりんステッカー(尚美では、やぎステと呼ばれる)”はウイトンドアート出版のブースにて「やぎりん日記を見た!」と担当者にお伝え頂ければ誰でも無料で入手できます!

さて、台湾で客演指揮を務めた一般バンド・桃園汲音管楽団の音楽監督である林俊吉先生、指揮者の楊宇綸先生よりメールと写真が届きました。両先生とも母国語でない英語にも関わらずご多忙のなか長文で気持ちの込められた内容で胸が熱くなる思いです。日記にも書かせて頂いたように最終的にコミュニケーションは取れたものの「言語」による意志の確認は物理的にできなかった分、このメールでお互い心より楽しみ、実りのある時間が過ごせたことを再確認することができました。早速、クラリネット奏者の三浦幸二さんにもメールを転送し、その喜びを分かち合い想い出話に花が咲きました。写真は楊宇綸先生と共に。もう一つはメンバーの皆さんと。写真をクリックして拡大して頂くと判りますが本当に見た目は日本人と区別できません。言葉が違うのが本当に不思議なくらいです。そういえば本日、尚美でバンドジャーナル6月号を読んでいると、ちょうど台湾で三浦さんが独奏を務めた【インテルメッゾォ】の原曲にあたる東広島ウィンドアンサンブル委嘱作品【クラリネット協奏曲】の橋本眞介氏の世界初演に関する記事が広島ウインドオーケストラの翁優子さんによって書かれていました。又、ユーフォニァムの三浦徹先生によるアジア諸国の吹奏楽事情の記事もタイムリーで載っていたのでシンガポール、台湾に行かせて頂いただけに“なるほど”と興味深く読ませて頂きました。

◇ 尊敬する音楽家

5月 11, 2010 By: S.Yagisawa Category: 日記

台湾での衝撃的な体験は一週間経った今でも鮮明に覚えています。たった3日間の練習しかご一緒できなかった両バンドの演奏者たちの表情も不思議と記憶から離れません。デビューからちょぅど10年目となった私にとって新たな目標を頂いた機会だと感謝しています。さて、私が吹奏楽界に「デビュー」した、いや、させて頂いたきっかけは21世紀の吹奏楽第4回“響宴”です。その時には【ディメレンタスII】という序曲形式の、まだ私の代名詞となった〈八木澤コラール〉も確立されていない時代の作品。大学一年生の時に当時お世話になっていた千葉吹奏楽団よりの委嘱で書かせて頂いたものです。後に千葉吹奏楽団には【カッパドキア】を恩返しも兼ねてプレゼントさせて頂いているので、こちらの方が同団を紹介する意味で皆さんには親しみ深いかもしれません。人との縁が広がり常に現場で経験・勉強させて頂きながら今日の活動に至った私ですが、本当に多くの素晴らしい音楽家、吹奏楽指導者の先生方にお世話になり、影響を受けてきました。

台湾のこともあって久しぶりに「デビュー」当時のことを感慨深く想い、今日は懐かしさもあって今後の人生を占うことになった市川市立新浜小学校吹奏楽部との出会い、26歳であった私がその体験を日記のように書いた【新浜小学校吹奏楽部を応援するページ】を読み返してみました。とても新鮮な感覚、体験をフレッシュな気持ちで書いていますので乱筆ではありますが、宜しければご覧ください。そう、当時、同小学校吹奏楽部の顧問でありご指導をされていたのは「田川伸一郎」先生。名も無い私が日本中に知られることになった【吹奏楽のための音詩「輝きの海へ」】の考案、委嘱者であり、同作品で同吹奏楽部を文部科学大臣賞(全国第一位)を受賞に導いた先生でもあります(写真は2002年TBSこども音楽コンクール文部科学大臣奨励賞受賞記念演奏会サントリーホールにて)。これまで素晴らしい先生方にはたくさんお会いしましたが、田川先生との出会いは〈八木澤コラール〉が生まれるきっかけにもなったこともあり特に衝撃的なものです。田川先生との出会いがなければ当然今の環境はありませんし、これまで【輝きの海へ】を通して広がった数々の貴重な「縁」も無いでしょう。正直、あの時、田川先生と出会っていなかったら…と想うとゾッとします。人と人との縁はほんの瞬間的な小さなきっかけ。私は本当に運が良かったとしか言いようがありません。

さて、日記のタイトルが「尊敬する音楽家」となっていますが、もちろん「田川伸一郎」先生のことです。「音楽家」と書いているのは意味があり、新浜小学校より転任された私の母校でもある市川市立真間小学校吹奏楽部をたった二年で全国第一位に導かれた後、本年、自らの意志で退職をされ先生は新たな環境で活躍されているからです。現在は「スクールバンドサポーター」という肩書きで活躍されていますが、田川先生ご自身のブログによると「バンドディレクター」と名乗らない理由は“「ディレクター」には「上から引っ張る。指揮する。」といった意味合いが含まれています。私は、これまでの教員経験とバンド指導経験を生かし、それぞれのバンドの実情・顧問の先生の夢や悩みに寄り添いながら、顧問の先生と「同じ目線で」バンド指導のお手伝いをする「サポーター」です。”と書かれていて、これまでは当然ながら赴任された小学校のみに力を注がれていた、あの音楽性がより多くのバンドに伝導されていくのではないか、と私はワクワクしているところです。【輝きの海へ】が完成し、スコアをお渡しした翌日早朝に田川先生からお電話を頂きお話しすると、作曲した私以上にスコアの細部まで熟読され音楽を把握されていたのには驚きと共に「感動」がありました。二年目に書かせて頂いた【吹奏楽のための詩曲「はてしなき大空への讃歌」】の時も同様です。赴任された数々のバンドが子供とは思えぬ名演を残されたのは田川先生の子供たちへの愛情と共に、単にゴールの見えない練習をするのではなく、田川先生の持つ音楽に具体的なゴールを持った子供たちが目を輝かせながら追いかけているからだと私は思っています。私のホームページで新浜小の【輝きの海へ】を提供しなくなった現在では「本当に小学生が演奏したのですか?」と半信半疑なご質問をされる方も少なくありません。You Tubeで演奏が配信されているのを発見しましたので、この機会に既にご存知の方も初めての方もぜひご拝聴ください。奇跡を体感できます。又、田川先生のブログでは吹奏楽指導でお悩みの先生方にとって必見な情報が多々載っています。まだ開設されて間もないご様子ですが今後は「吹奏楽バイブル」になると確信しています。

●田川伸一郎先生のブログ

●You Tube:吹奏楽のための音詩「輝きの海へ」田川伸一郎指揮、市川市立新浜小学校吹奏楽部

○ 羽島北高校の定演!

5月 05, 2010 By: S.Yagisawa Category: 日記

大阪のホテルで目が覚める。今日は岐阜県立羽島北高等学校吹奏楽部定期演奏会の客演指揮ゲスト。【太陽への讃歌】の2010年改訂版と共にクラリネット奏者の三浦幸二さんをゲストに招いての【アダージョ】が世界初演。三浦さんもずっと体調が心配だったようてすが良い方向に向かっているとのこと。私もほんの少しですが昨日よりは疲労が回復しているようです。でも眠気は全く取れません。明日からは久しぶりに自宅へ帰り徹夜の集中作曲。気は抜けません!写真はNPO法人吹奏楽振興ネットワークの中継車。生徒さんとの久しぶりの再会をして軽く確認練習。前回の練習の時よりも音色も良く集中力もある。三浦さんとの合わせも順調に終わりランチタイム。今日も和食風!健康的で良いです。

顧問である大久保夏樹先生の指揮する【ペルセウス】は初めて聴かせて頂きましたが壮大で感動的(写真)。【アダージョ】【太陽への讃歌】も順調に演奏を終えDVDのインタビューなどを収録したりしていたら既に終演時間。三浦さんも多くの生徒さんにサインを頼まれていました(写真)。生徒さんと記念撮影!三浦さんは若干、顔に疲れがありますねぇ。。。

終了後は岐阜駅付近で大久保先生や講師の先生、OBの皆さんたちと共に大宴会!串焼きの食べ放題でまたまた食べ過ぎてしまいました!終了後は名古屋で三浦さんと共に9日間に渡る台湾〜大阪〜岐阜の公演と無事帰還を含めた祝賀会。ようやく明日は自宅です。でも休めない。。。。

○ 阿倍野高校の定期演奏会!

5月 04, 2010 By: S.Yagisawa Category: 日記

本日は大阪府立阿部野高等学校吹奏楽部創部50周年記念演奏会。委嘱作品である【KYO-WA】が全楽章、世界初演となります。「全楽章」というのは、この作品は3年かけて1年に一曲ずつ完成させ初演し50周年にあたる本日で全てを完結させるといった指揮者でありトロンボーン奏者の堀証範先生の構想による作品。すなわち3年前に入学した1年生が3年生になって最後の定期演奏会を迎えたのです。1楽章「ファンファーレ」、2楽章「コラール」、3楽章「マーチ」という組曲。阿倍野高校にはデビュー当時は何度か伺ったことがありましたが近年は伺っていなかったので生徒さんとも昨日の練習が初対面。とても良いサウンドで堀先生の優しい音楽創りにマッチしています。写真(左)は堀先生の指揮による演奏。写真(右)は近年、同高校と深い繋がりを持っている作曲家の福田洋介さんの客演指揮のワンシーン。OBも含めた合同バンドで福田さんの代表作でもある課題曲【風之舞】が演奏されました。

終了後は楽器運搬が終わるのを楽屋で待ち学校へ向かう。生徒さんへの激励の言葉をお伝えしましたが演奏会の疲れかあまり元気の無い様子。こうなったら、アレしかない!大阪府初公開となる“やぎりんゲーム”を現役とOBも含めた大編成で行いました。写真の通り大盛り上がり!ただ私の方は本番のステージのインタビューもそうでしたが、いつものように言葉が上手く出ない…。クラリネット奏者の三浦幸二さんに言うと“あれだけ慣れない英語ばかり話していて、しかも日本語で話す時も判りやすくゆっくり話している生活を6日も過ごせば当然ですよ〜”とのこと。実は三浦さんも同じ状況とのこと。又、日本語の速い会話が聞き取りにくいという後遺症も…。疲れとの回復と共に治るとのこと。経験者は語るという感じですね。夜は19時〜OBとの打上げが予定されていましたが既に20時。21時過ぎからは八木澤作品関西吹奏楽指導者連合会の総会(宴会)を理事長の田中雅朗先生が臨時に企画してくださっていたこともあり体調も心配かつ時間も半端になるので打上げは失礼しホテルで仮眠。

臨時総会は田中先生が4月末というギリギリの時期に企画されましたが十数名の出席。プロフエッショナルな音楽家から学校の先生方までご多忙の中お集り頂きました。 そして総会が終わりラーメン屋に向かう時に打上げを終えた堀先生が駆けつけてくれました。福田さんと既にラーメンを食べたとのことでしたがお付き合いくださいました。写真(右)は左から大阪市立文の里中学校吹奏楽部の安藤寛先生(合唱曲「あすという日が」初演指揮者)、大阪市立高津中学校吹奏楽部の田中雅朗先生、堀先生。ラーメンを食べながら私は熟睡。本当にラーメン終止になっていました…。明日は岐阜で羽島北高等学校吹奏楽部の客演指揮とDVDレコーディングです。三浦さんは【アダージョ】の世界初演を共演してくれます!

▽ 台湾 第7日目→関西へ帰国!

5月 03, 2010 By: S.Yagisawa Category: 日記

台北の四季飯店[フォー・シーズン・ホテル]のフロントでクラリネット奏者の三浦幸二さん、ウインドアート出版の神長一康さんと朝5時に待合せ。三浦さんと3時過ぎまで呑んでいたので実質はほとんど寝ていません。とてもクタクタです。これは呑んでいたからではなく精神的にも肉体的にも限界値まで来ている感じです。 空港に到着するとそれぞれのチェックインへ。3人共、航空会社が異なります。私は出発2時間前だというのにチェックインカウンターが開いていなく焦りました…。カウンターにいる人に訪ねても英語も日本語も通じず…。ですが何とか情報を得て無事にチェックイン!今日は神長さんは成田空港へ向かいますが、三浦さんと私は関西空港経由で大阪〜岐阜とまだまだ旅が続きます。

関西空港へ到着すると現在、委嘱作品のご依頼を頂いている兵庫県の六甲ヴェルデ吹奏楽団の団長である三木雅行さん、事務局長の玉置久展さんが打合せも兼ねていらしてくれていました。夜の大阪府立阿部野高等学校吹奏楽部の練習までは時間があったのでランチを共に。三浦さんは大阪では休暇を兼ねて阿部野の演奏会にご来場してくれることもあり同席。久々に和食を食べました。ホールに早めに到着し同団指揮者である深田哲也先生も含めて打合せ。六甲ヴェルデの皆さんは以前【輝きの海へ】を演奏してくださっていることを知っていましたし、深田先生には更に【稜線の風】も別のバンドで指揮して頂いていることは知っていました。団長の三木さんは【ナスカ】の委嘱団体でもある習志野ウィンドオーケストラとも縁があるなど、またまた縁を感じる話題が!写真は左から三浦さん、深田先生、玉置さん、三木さん。

夜は明日の大阪府立阿部野高等学校吹奏楽部創部50周年記念演奏会のための委嘱作品【KYO-WA】の練習に立会い、そして終了後は六甲ヴェルデの皆さんとお寿司屋さんで更にお酒の入った打合せ。とても熱い方ばかりで楽しみです。疲労もあったので23時には解散。三浦さんと共にホテルへ戻ったものの、いつも深夜3時まで呑んでいたこともあり眠気はあるものの、どうしてもラーメンが食べたい気分に。探しても探しも見つからない。諦めて、すき屋でビールを呑んで帰りました。

◎ 台湾 第6日目【第4回台湾クリニック・中学校コンクール審査】

5月 02, 2010 By: S.Yagisawa Category: 日記

今日の午前中は中学校コンクール審査。6団体が20分以内の自由なプログラムで演奏するものを技術&表現で合計100点で審査しコメントを書く形式。審査員は香港と日本人となり日本からは秋山紀夫先生、ユーフォニァムの露木薫先生、私の3名となりました。難しい曲からポップス調のものまで幅広く選曲されていてとても盛り上がっていました。写真は林俊吉先生。台湾誇るバンドディレクターとして多くの人たちに尊敬されていました。又、多くのお弟子さんたちが活躍されているようです。今回のコンクールで【眩い星座になるために…】を演奏してくださっていたこともあり終了後にウインドアートのブースを尋ねてくださいました。過去には【ザ・ウエスト・シンフォニー】を中学部門で演奏し全国1位を受賞したとのこと。本日の演奏も素晴らしかったです。その他にもたくさんの人が朝からウインドアートへ!ちなみに今回の台湾クリニックは私の客演曲にレンタル譜が認めてもらえずブレーンの契約曲が残念ながら選考外となってしまいました…。デ・ハスケの出版譜と台湾のキャノンアートとダイレクトに提携を結んだウインドアートの楽譜のみで選曲しましたがブレーンの【マチュピチュ】【ナスカ】も取り上げて欲しかったという要望が多かったです。

お昼はラーメンらしきものを。昨日の公開講座の通訳を務めてくれた武蔵野音大の後輩である吳家雯(ケリー)さん(台湾のサクソフォーン奏者)もウインドアートのブースを訪ねてくれました。ウインドアートのCDはほとんど完売!台湾での全ての仕事を終えた三浦さんと私はグッタリ…。夜は22時過ぎから三重市長を囲んでの大宴会があるとのこと。体力不足は厳禁と思い夕方頃にホテルへ帰って休ませてもらうことに。さすがに疲労が身体に来ています。これまでの練習は朝、昼、晩と全て立って指揮をしていたし、クニリック会場でも行ったり来たりで動き回っていたので足もガタガタ。とりあえず三浦さんし台湾マクドナルドを試しながらホテルで休養を。

そして夜は三重市長を囲んでの大宴会。とても気さくな方ですがお酒の薦め方が半端ではない。しかもウォッカのような強いお酒。昨日、ユーフォニァムの露木さんは潰されたとか。どうやら今日は私も目をつけられたようです。嘉穂高等学校吹奏楽部の伏見宣秀先生もかなり薦めによって呑んでしまったご様子。私は神長さんと共に水を手配し何とか緩和。これぞ祝杯!というのに相応しい最後の夜になりました。神長さんは体調が微妙ということでそのままホテルへ。三浦さんと私は2人で名残惜しい台湾の夜をビールと共に楽しみました!明日はホテルを朝5時出発で空港へ向かい関西経由で大阪府立阿倍野高等学校吹奏楽部創部50周年記念演奏会の練習&本番へ。まだまだ自宅には帰れません!

◎ 台湾 第5日目【第4回台湾クリニック・客演指揮&公開講座】

5月 01, 2010 By: S.Yagisawa Category: 日記

本日は台北の三重市で開催される第4回台湾クリニックにて公開講座(マスタークラス)と本日のメインイヴェントである中華民国空軍楽隊(The Air Force Band)の客演指揮があります。士官長の劉之傑さんの指揮で1曲、秋山紀夫先生の客演指揮で1曲、そして私の指揮で4曲+アンコールという流れ。秋山先生と同じ舞台に参加できるのも夢のようなことです。又、同時に数十年かけて秋山先生が築かれてきた海外との親交と信用を考えるとこのメインステージで私がミスをする訳にはいきません。緊張と気合いの入り乱れた不思議な心境の中、午前のリハーサルを無事に終えました。

午後になると、いよいよ台湾クリニック開始。クラリネット奏者の三浦幸二さんが行う公開講座(マスタークラス)が始まることもあり次第に人が増えてきます。ウインドアートのブースにも訪問者が見え始めました。三浦さんの公開講座は会議室で行われましたが満席。武蔵野音大の後輩である吳家雯(ケリー)さん(台湾のサクソフォーン奏者)が本日より通訳としてヘルプしてくれて的確に三浦さんの説明を受講者に伝えています。三浦さんはクラリネットの入門編に重点を置いて進めていましたが多くの受講者から質問攻めにあうほどの濃い内容。

終了後は私の公開講座。私の方は大ホールと中華民国空軍楽隊をモデルバンドとしてご用意頂いたので、せっかくなので夜の演奏会に絡めた内容にすることにしました。東北福祉大学吹奏楽部音楽監督の松崎泰賢先生もいらしてくれているので委嘱作品【ヘリングの朝】を使用することにしました。資料を作成し配布。45分の限られた中で吳家雯(ケリー)さんの通訳で作曲の経緯、作品のストーリーを解説。断片的なテーマをバンドに演奏して頂きます。そして松崎先生を初演指揮者ということでご紹介し作品へのアドバイスもお話頂きました。秋山先生もご多忙の中ご来場くださり激励を頂けました。写真(左)は松崎先生が福祉大の学生へ台湾クリニック記念デザインTシャツをお土産に購入しているところ。写真(右)は左より士官長の劉之傑さん、台湾クリニック主催者の黄健能さん、私、三浦さん。

夜からは演奏会が開始。ウインドアート出版のブースにも多くの訪問者が。何と空軍のメンバーもたくさん買ってくださっているのです。士官長の劉之傑さんをはじめ隊員の皆さんは“今回初めて八木澤さんの曲に触れました。他にも聴きたい、演奏したい”と笑顔で話しかけてくれます。もちろん今日は吳家雯さんが完璧に通訳してくれています。神長さんは“持って来たCDがもうほとんど無い。どうしょう…”と泣きそうです。止むを得ず[売切れ]の広告を出して対応。台湾の大学生バンドの演奏が終わり、本日最終プログラムである中華民国空軍楽隊。リハーサル通り息の合った演奏が出来てラストを飾った【ヘリングの朝】では渾身の熱演となりました。今までの英単語と歌って説明するコミュニケーションでは音の形や音量、フレーズ感は説明できても曲のストーリーは伝えることはできません。ですが本日の公開講座で吳家雯さんが私のイメージを中国語で細かなニュアンスまで伝えてくれたからこそ、なぜ私があそこまで必死に汗をかきながら伝えていたのかが判ったのだと思います。八木澤コラールが鳴り響き聴衆の大歓声と共に幕を閉じました。普段、厳しい松崎先生も本当に素晴らしかった、と喜んでくださり今回の任務を無事に終えることができたのだ、と感慨深く思いました。終了後は大宴会。写真は秋山先生と鍋。そして隊員の皆さんと共に。あとは明日の午前中のコンクール審査のみ。身体が物凄く痛いしクタクタです。実は明日の朝一番で松崎先生は帰国されます。三浦さんと3人で2次会を行い、松崎先生無しでは今回の成功はなかったと感謝の気持ちを込めての乾杯!この台湾旅行では松崎先生の新たな一面も垣間見ることが出来て本当に楽しかったです。