■ 大いなる神秘の山へ[世界初演]/八木澤教司
長野市民吹奏楽団創立50周年記念委嘱作品。今回このような記念すべき節目の年に、新作を作曲させて頂く機会に恵まれ大変嬉しく思っています。それに加え私自身、個人的な想いもあり特別な気持ちで作曲に取り組みました。というのも、私が作曲家を夢見ていた高校生の時に、大好きだったベルギーの作曲家ヤン・ヴァン・デル・ロースト氏の「オリンピカ」が、長野市民吹奏楽団創立20周年記念の委嘱作品であったからです。この作品に出会えたことは、その後の厳しい作曲家への道を志す私の心の支えでした。そうして、時を経て私が委嘱作品を書かせて頂けることを感慨深く思うと同時に、とても光栄に思っています。
「大いなる神秘の山へ」は、豊かな自然と文化に彩られた長野市の情景に同団の50周年の歴史を重ねると共に、稲垣征夫先生と団の皆様の信頼関係を描きました。善光寺をはじめとする歴史情緒あふれる史跡、戸隠連峰や北アルプスに臨む太古の自然、鬼女紅葉伝説など数多く伝わる民話や伝承、日本の奥ゆかしい田園風景など、長野市の魅力は枚挙にいとまがありません。こうした沢山の魅力を伝えられるように、そして、今なお続くコロナ禍を乗り越えられるように、力強いエネルギーと希望に満ちた更なる飛躍を願って作曲しています。稲垣先生と同団の皆様の熱い想いが壮大なサウンドを生み出し、ご来場の皆様の勇気の源になることを祈っています。