空中都市「マチュピチュ」― 隠された太陽神殿の謎 / Machu Picchu : City in the Sky

■作品名 (Title)
空中都市「マチュピチュ」― 隠された太陽神殿の謎
Machu Picchu : City in the Sky
■委嘱団体 (Commissioned organization)
川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団 委嘱
■作品No (Work No)
024
■作曲年 (Composition year)
2004
■グレード (Grade)
5+
■演奏時間 (Duration)
約10分50秒
■演奏可能最低人数 (musician)
55人
■参考音源 (Audio Sample)
■出版社 (Publisher)
     
■解説 (Commentary)
空中都市「マチュピチュ」ー 隠された太陽神殿の謎
Machu Picchu : City in the Sky
― The mystery of the hidden Sun Temple■ 川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団第30回記念定期演奏会 委嘱作品 ■
2004年度よりこれまで温めてきた古代遺跡をテーマにした作品を連作として書くことにしました。
第一作目となったのは陸上自衛隊東部方面音楽隊委嘱作品である
「モアイ」― 太陽を見つめる七体の巨像。
今回の空中都市「マチュピチュ」はそれに続く第二作目にあたる作品です。■ マチュピチュはインカ帝国の隠された神殿であった ■
●インカ帝国の首都クスコと時代背景●15世紀から16世紀にかけてアンデス山脈のさまざまな地域を短期間に統一した大帝国“インカ”。
その規模はアンデス山脈を中心に,エクアドルからチリにまで及んだという。
インカ帝国は現在のペルーよりも遥かに高度な文明を持っていた。
ピューマをかたどって造られた首都クスコは,
太陽を崇拝した人々にとって宇宙観の中心地そのものであった。しかしスペインの侵攻後,破壊された街並みは,
インカの藁葺き屋根からスペイン風の赤い瓦屋根へと変わっていった…。
現代ではインカ時代の面影はほとんど消えてしまっている。インカ帝国は強大な力を持った中央集権国家であった。
カミノ・デル・インカと呼ばれた道がクスコを中心に四方に広がり支配地域の隅々まで整備されていた。
クスコの王は1万平方キロにも及ぶ広大な地域の情報を瞬時にクスコに集めるために2.8キロごとに小屋を設けて飛脚を置いた。
インカ帝国当時から使われている橋桁 ― 巨石を組んで造られたものは今も現役である。
巨大な権力を持っていたインカは水道設備や道路なども整備されたものであった。
このように当時クスコは高度な文明を持った巨大祭礼都市であったのだ。インカは建築技術も高度な技術を持っていた。
ラ・コンパーニャヘスス教会の隣にある,街の中央を走るロレート通りを見れば明らかである。
この通りには昔ながらのインカ時代の石積み建築の面影が今でも残っている。
インカでは都市の石積みに成形された画石が使われた。
正確な石組はカミソリ1枚通さないと言われる緻密なみのである。
又,十二画に切った石をモザイク上に隙間なく並べている壁や,
複雑に形成され隙間なく並べられた通りの石積みには,インカの人々の遊び心さえも感じられる。

さて,最も注目すべきものはインカ帝国の中心に位置していたコリカンチャ(太陽神殿)である。
太陽神殿はインカが崇拝した太陽を祭った神殿であったが,今はそこには外壁と一部の建物しか残っていない。
内部には月・太陽・稲妻・虹・星と呼ばれる部屋があり,破壊された今でもその石組みにズレは少ないようだ。

一方,アンデス山脈の梺に位置する広大なこの大帝国は,膨大な“黄金”を持つ,まさに黄金に輝く国であったが,
クスコは1533年,黄金を狙うスペイン人に侵略され文明と共に滅び去ってしまった。
スペイン人はインカの象徴である太陽神殿を破壊し,その上にはスペイン統治時代の象徴サントドミンゴ教会が建てた―。
こうしてインカ帝国の文明は長い間,歴史上かに途絶えたと思われていた。

―しかし,太陽神殿は破壊されていなかった?―

●それから340年後 ― 空中都市「マチュピチュ」が発見された!●

340年後,1911年にスペイン人の侵略を免れた遺跡(マチュピチュ)がアメリカの考古学者によって発見された。
標高2400メートルという誰もが考えてもいなかった山の中に…。
しかも発見されてからまだ100年も経っていないというのが神秘的である。
どうして何百年も発見されなかったのだろうか。
そして多くの謎に包まれたこの空中都市「マチュピチュ」(老いた峰)が今回のテーマなのである。

1911年に発見された空中都市「マチュピチュ」遺跡

スペイン人たちも気付かれることのなかったマチュピチュは
インカ時代の破壊されなかった唯一手付かずの遺跡でもある。
観光として遺跡を見た現代の人々は「つい最近まで人々が生活していたような面影が残っている」と皆んな口にするという。
ただ,どのような技術を使って,こんな険しい山の上に石の街を築いたのであろうか。
又,どのように大量の石を運んできたのかも謎である。
そもそもマチュピチュが何のために創られたのかもまだ明らかになっていないのだ。

一説に戦時中に王族が逃げ込む隠し砦として造られたのではないかと考えられている。
マチュピチュにはクスコで破壊されたものと同様な太陽神殿も発見された。
王族と共に太陽神殿はスペイン人から守るためにマチュピチュへ隠されたのではないだろうか。

マチュピチュ遺跡で最も注目すべきはインティワタナ(太陽をつなぎ留める柱)と呼ばれる石である。
インカの人々は太陽が軌道を外れないよう神に祈る儀式で,礼拝石として利用してと言われている。
彼らの脳裏には,遠い祖先が体験した大惨事の際の潜在的記憶が「天体の軌道変化=大災害発生」となって残っていたのだろうか。
再び太陽が軌道をはずれ大惨事が起きないように毎年,冬至の日には,
石柱の真上に来た太陽をつなぎ留めようと石柱に紐をかける儀式を行っていたという説もある。
インティワタナは日時計としても使用されていたという説もあり真実は謎である。

その他にも自然の地形をそのまま利用したアンデネス(階段畑)が作られ、高山であるにも関わらず水路も整備されていた。
又,半月の寺院,3つの窓の寺院,太陽の処女の宮殿,水路や泉,浴場などが高度な建築技術を用いて造られていたようだ。
この都市は自然を利用して自給自足が出来るようになっている。まさに秘密の隠れた都市と言えよう。

インティワタナ

太陽神殿

美しい水路

更に洞窟から143体のミイラを発見されているが,その大部分は若い女性だった。
しかもその多くは,頭をかきむしり,口を開けて絶叫しているすさまじいもので薬物による死をも想像させる。
彼女達に何が起こったのかも全くの謎である。

文字を持たないインカ帝国が3000年以上も続いたことが何よりも神秘的で不思議なことである。
滑車や歯車の技術を持たなかったインカ帝国の人々がこのような場所に本格的な石造建築の都市を築いた事は驚きに値する。
マチュピチュは当時インカ帝国が高度な都市建造技術を持っていた証そのものだと言えよう。

― マチュピチュは「マチュピチュ」の歴史保護区として1983年にユネスコ世界遺産に登録された ―

●参考文献:ユネスコ「世界遺産4」~マヤ文明・インカ文明より●
●写真提供:松岡絵里さんHP「世界一周デート」より転載。

■ 空中都市「マチュピチュ」―隠された太陽神殿の謎について ■

資料を集めた結果として,今回の作品は空中都市「マチュピチュ」の美しい情景ばかりでなく,
その裏に隠された多くの謎に迫るものを目標としました。
作品のイメージはこんな感じです。

太陽を崇拝する黄金の都“クスコ”を象徴とした華やかな導入。
膨大な黄金と高度な文明を持つ首都クスコの街並み,アンデス山脈の雄大さを描写する第一部。

スペイン軍によって侵略されていくインカ帝国の様子を描写した第二部。

滅びたと思われたインカ帝国。
しかし太陽神殿と共に発見された空中都市「マチュピチュ」。
標高2400メートルと更に太陽へ近づく隠された都市を壮大に描写。
美しい段々畑や高度な建築物をイメージした第三部。

このように大きく3つの場面で構成されています。
当作品は4声で絡みゆくお馴染みの特徴的なコラールは使用していませんが,
どことなく寂しい民族風コラールが登場しますョ!

Machu Picchu – City in the Sky
The mystery of the hidden Sun Temple

Satoshi Yagisawa, Composer

Explaining the significance of Machu Picchu begins with remembering the Incan empire at its zenith, and its tragic encounter with the Spanish conquistadors. 378 years later an archeologist from Yale University, Hiram Bingham, rediscovered “Machu Picchu”, a glorious mountaintop Incan city that had escaped the attention of the invaders. At the central high point of the city stands its most important shrine, the Intihuatana, or “hitching post of the sun”, a column of stone rising from a block of granite the size of a grand piano, where a priest would “tie the sun to the stone” at winter solstice to insure its seasonal return. Yagisawa describes that magnificent citadel as three principal ideas dominate the piece: 1) the shimmering golden city of Cuzco set in the dramatic scenery of the Andes, 2) the destructiveness of violent invasion, and 3) the re-emergence of Incan glory as the City in the Sky again reached for the sun.

Catalog #ZOMS-A024
Duration: 12:00 Grade 6
Price: $145.00 (with oversized score)

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Publisher : bravomusicinc
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■編成 (Instrumentation)
Piccolo
Flute 1 & 2 (div.)
Oboe 1 & 2
English horn
Bassoon 1 & 2
Contra Bassoon
E♭Clarinet
B♭Clarinet 1 , 2 & 3
Alto Clarinet
Bass Clarinet 1 & 2
Contra Alto Clarinet
Alto Saxophone 1 & 2
Tenor Saxophone
Baritone Saxophone
Trumpet 1 (div.), 2 & 3
Flugel horn
Horn 1 , 2 , 3 & 4
Trombone 1 , 2 & 3
Euphonium 1 & 2
Tuba
String BassHarp
Piano (doub.Celesta)

Timpani

【Percussion】5 players~
Bass Drum
4 Tom-toms
Bongos
Crash Cymbals
Suspended Cymbal
Hi-hat Cymbal
Gong
Triangle
Bard call
Wind Chimes
Temple blocks
Ratchet
Whip
Vibra-slap
Chimes
Glockenspiel
Marimba

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