「公慶の悲願」― 東大寺大仏殿、再建への道
奈良育英学園吹奏楽部創部50周年記念委嘱作品。2011年4にやまと郡山城ホールで開催された第28回奈良育英中学校・高等学校吹奏楽部定期演奏会において同部顧問である廣岡圭司先生の指揮、同校の在校生と卒業生によって世界初演。
公慶(こうけい) [慶安元年11月15日(1648年12月29日)宝永2年7月12日(1705年8月30日)]は江戸時代前期の日本における三論宗の僧の一人で、東大寺の大仏および大仏殿の再建に尽力した人物として知られています。公慶は永禄10年(1567年)の兵火によって大仏殿が焼失し、大仏が露座のまま雨ざらしとなっていることを嘆き大仏殿再建を決意します。江戸幕府の許可を得て「一紙半銭」をスローガンに全国に勧進を進め、様々な困難に乗り越えながらも前進していきます。公慶自身は大仏殿の落慶を見ることはなく、宝永2年(1705年)に江戸で客死しましたが、彼の行動と精神によって誰もが知る今の奈良の大仏殿が出来たのです。
私はシンガポール行きの飛行機で偶然にも公慶の信念に迫るドキュメンタリー番組を見て、心より感銘を受けこの実話をテーマに選びました。今のような時代だからこそ、特に若い世代に公慶の持つエネルギーを感じ調べ、希望のある未来に向かって信念を持って進んで欲しいと願い、作曲しました。
[楽譜:原典版〈中編成35人程度・グレード3+〉、小編成改作版〈20人程度・グレード3〉] |