流浪の波
~千葉吹奏楽団創立15周年記念委嘱作品~―千葉吹奏楽団への想い―
千葉吹奏楽団の皆様,創立15周年おめでとうございます。そして同時に千葉吹奏楽団と私が出会ってから,八年という年月が経ったことを意味します。1994年,高校を卒業したばかりであった未熟な私の作品(Happy Days)を定期演奏会で演奏して頂いたことは,とても大きな励みとなり,当時作曲家を目指していた私にとって夢と希望を与えてくださいました。そして,続けて創立10周年記念委嘱作品《ディメレンタスII》(1996),第10回定期演奏会記念委嘱作品《嵐の中の幻影》(1998)と二度の依頼を頂き,私にとって千葉吹奏楽団は全国の中で最も身近に感じられる楽団となりました。今回も記念すべき祝典のための新作を依頼して頂いたことは大変嬉しく,私は千葉吹奏楽団への想いを音楽に表出しました。―《流浪の波》の概観―
三度目の委嘱作品である《流浪の波》(2001)は名のごとく『さまよう波』と解釈して頂きたいのですが,ここでいう『波』は単に“海の情景”を描写したのではありません。ここでいう波は人生における不偏的な『波』を表し,人間の希望に向かう“力”や自然現象を取り巻く多くの“現象”を描写しているのです。作品の具体的な内容については,あえてこの場では記しません。客席の皆様が一人一人違った流動的な『波』を見ることが出来たならば作曲家として幸いに思います。この記念すべき千葉吹奏楽団創立15周年記念作が多くの皆様の心に残り幅広く親しまれることを願っています。皆様のご感想を楽しみにしています。2001年12月15日,千葉・ぱるるホールにて鈴木千博さんの指揮と同団によって初演。
●改訂版オプションパートについて
2001年3月25日に千葉県市川市文化会館大ホールで開催された千葉県立市川西高等学校第15回定期演奏会のためにハープとピアノを加えたヴァージョンが完成しました。
(オプションパートなので無くても演奏可能です) |