ジャズバンドとコンサートバンドのための「マウンテン・ロード」 / THE MOUNTAIN LOAD for Jazz Band and Concert Band

■作品名 (Title)
ジャズバンドとコンサートバンドのための「マウンテン・ロード」
THE MOUNTAIN LOAD for Jazz Band and Concert Band
■委嘱団体 (Commissioned organization)
山形吹奏楽研究会 40周年記念事業 委嘱
■作品No (Work No)
150
■作曲年 (Composition year)
2014
■グレード (Grade)
4
■演奏時間 (Duration)
約14分00秒
■演奏可能最低人数 (musician)
45人
■参考音源 (Audio Sample)
未出版
■出版社 (Publisher)
未出版〈作曲者管理〉
■解説 (Commentary)
■ ジャズバンドとコンサートバンドのための「マウンテン・ロード」/八木澤教司 作曲
■ THE MOUNTAIN LOAD for Jazz Band and Concert Band/Music by Satoshi YAGISAWA

山形吹奏楽研究会40周年記念事業委嘱作品。昨年、武蔵野音楽大学の先輩であり山形交響楽団ゼネラル・マネージャーを務められている佐藤裕司氏からFace Book経由で久しぶりにメールを頂き、そこには山形吹奏楽研究会という素晴らしい楽団があることが書かれていました。そして可能であるならば彼らの40周年という節目に新作を書いて欲しいと…。しばらく経ってから研究会の何名かの皆さんと実際にお会いして活動の様子や依頼される作品の内容を伺い、私はまず驚きました。その内容とは「私たちはスノーモンスタージャズオーケストラと山形吹奏楽研究会吹奏楽団という2つのグループで普段は別々に活動していますが、節目の40周年にあたる演奏会では合同で演奏できる新作をオリジナルで作曲して頂きたいのです」。今まで協奏曲など特殊な編成も含め吹奏楽曲は150曲近く作曲してきましたが、ジャズバンドと吹奏楽の共演する作品は始めてかつ、あまり世の中に例も無く…。相当な時間も費やすことになるだろうし、スコアの段数は一体何段になるのだろうか…。そんな不安もよぎりましたが吹奏楽団団長の石田一馬さんをはじめ、とても人柄の良い方たちで話を聞いているうちに「この人たちと一緒に音楽を創ってみたい!」という気持ちが強くなり、この《マウンテン・ロード》という吹奏楽パート30段、ジャズパート19段、合計49段という膨大なスコアが誕生することになりました。作風は「山形は音楽を愛する人たちが楽器を吹き、語り合い、酒をいつも呑んでいます。ここは自然豊かで空気や水がきれいなので食べ物も日本酒も旨い。四季は猛暑、極寒と厳しい土地ですが、人柄は優しく穏やかな人ばかり~」と石田さんが語っていた言葉にインスピレーションを得ています。

【第1楽章】の冒頭は吹奏楽(アメリカではコンサートバンドと言いう)で「自然豊かな山形の景色」を描き、続いてジャズバンドに音楽をバトンタッチして「酒場で仲間と親しむ様子」を描写した楽章です。
【第2楽章】は寒い冬の山形をイメージ。ソロを中心とした静かな導入から開始されますが、極寒の中で生活する山形の温かい人々の優しい心がクローズアップされ、音楽は次第に明るくバラード調に発展します。そして頂点に達すると再び静かに幕を閉じます。
【第3楽章】は吹奏楽とジャズバンドが交互に演奏する協奏曲形式。老若男女が集うこの研究会には様々なタイプの人たちがこの40年間で出入りしてきたことでしょう。ジャズ、吹奏楽という違う質の音楽で人々の性格の違いを表現し、そんな様々な考えを持つ人たちが「音楽を愛する気持ち」を通して絆を深め、信頼できる仲間になってきた様子を描写しました。ドラムセットやジャズパートのアドリブにも注目ください。

タイトルの《マウンテン・ロード》は「山の道」と直訳できますが、実際には「山形という地で音楽を愛する人たちが40年を歩んできた道」という意味になります。研究会の皆様にとってもご来場の皆様にとっても想い出の一曲になることを願っています。最後になりましたが40周年記念、おめでとうございます。

■編成 (Instrumentation)

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