☆ シアトル4日目【メインコンサート】
いよいよ今日は本番、そしてシアトル滞在最終日になります。本当にあっと言う間に当日を迎えました。メインコンサートは夜ですが、その前に私は一仕事が!詳しいことは全く聞かされず、ブレーンミュージックの村上社長も詳細が判らない未知なる“新譜紹介”の指揮をすることになっています。村上社長の予想では全米から集められた高校生選抜バンドを指揮するということ。そして唯一確実なのは【輝きの海へ】【プリマヴェーラ】を演奏するということですが、一体どのように進めれば良いのか判らずいよいよ開始10分前。日本語ならばどんな状況でも対応できると思いますが、急に曲の説明や細かなニュアンスを英語で伝えるのはあまりにも無茶!何とか事前に少しでも情報を集めたい。。。そんな時にようやく情報が舞い込んできました。一切、曲の説明も指示もせずに曲を初見合奏で通せば良いとのこと。しかし両曲とも初見で通せる曲ではありません。フェルマータやテンポチェンジなど説明も無しに通すことは絶対に出来ない。そして更なる情報は高校生選抜バンドではなく全米から集まったバンドディクターたちの集まるディレクターズバンドとのこと。。。とりあえず時間になったので会場に行くとスウェアリンジェン氏がトップバッター。確かに大人の人たちが演奏している。本当に初見のようだ。驚くべきことは、その光景ではなくバンドを取り囲むように演奏していない指導者の皆様が、それぞれの演奏されて行く作品にコメントを付けたり、○×を付けたりしているようだ。すなわち現場で使えるかどうかネタを仕入れる“楽曲市場”のような雰囲気。必ず指揮は作曲家とは限らず指導者の方もしているようです。いよいよ私の番。これまでの6曲くらいは明らかにグレード2程度の曲。【輝きの海へ】【プリマヴェーラ】は明らかに難しすぎるのでは???しかし演奏が止まってしまう訳にはいかない。難しいと嫌煙されては何かと段取りをしてくださったブ村上社長な面目が立たない。。。しかも2曲ともブレーンの契約曲。。。当然ながら危ないところはありましたが…何とか止まらずに最後まで辿り着きました。ちょっと嫌煙されたかなぁ。。。
サクソフォーン奏者の浅利真くんとランチを食べてお互いホテルの部屋に帰って仮眠を取ることに。毎日、かなりの緊張感の中で過ごしているので精神的にも肉体的にもかなりの負荷がかかっています。ゲネプロが18時なので3時間くらい寝ることに。遅くなりましたが今回の部屋はこんな感じ。
18時頃にメインコンサートが開催される会場に行くと明日の大選抜バンドのリハーサルがヨハン・デ=メイ氏の指揮で行われていました。一方、浅利くんは本番前だから初心に返ってロングトーンをすると基本を。
花咲徳栄高等学校吹奏楽部のリハーサル準備をしているとスウェアリンジェン氏が再びお声をかけてくれました。「午前中にあなたが指揮した2曲を指導者の皆さんが私のところに来て美しい興味深い曲だと言っていました」と。私は「しかし今回の趣旨としては難し過ぎたのでは?」と聴くと「大丈夫、心配しないで」と勇気づけてくださいました。本当に優しく温かい人です。ロビーに出るとリハーサルを終えたヨハン・デ=メイ氏とバッタリ(写真)。
いよいよ本番。今日は花咲徳栄高等学校吹奏楽部、James bowie High school wind Ensembleの2本だてのコンサート。前者では【ペルセウス】を指揮し後者では【マチュピチュ】を指揮するので私は2回出演することになります。又、それぞれのバンドでスウェアリンジェン氏、ヨハン・デ=メイ氏が1曲ずつ指揮されます。物凄い数のお客さん、全米から集まった高校の先生や生徒さん、そしてバンドディレクターの方々といった雰囲気で、どう評価されるのかが心配。
ですが花咲徳栄高等学校吹奏楽部の皆さんの熱演のお陰で2曲目に演奏したにも関わらず聴衆の皆さんはスタンディングオベーションで賛辞を送ってくれました。又、ポップスステージではパフォーマンスがかなり好評でした。浅利くんのステージも盛り上がり、顧問の川口智子先生はさすが海外での演奏豊富なだけあってよく考えられた選曲で素晴らしかったです。又、私の編曲した【アメージング・グレイス】では私の隣で聴かれていたスウェアリンジェン氏が最後まで歌い続けてくださり感激でした。「私にとって大切な曲を美しいハーモニーでアレンジしてくれてありがとう」と何度も御礼まで言われていまい想わず涙ぐんでしまいました。James bowie High school wind Ensembleはクラシカルな選曲でしたが、日本のバンドとは異なる独特な雰囲気で演奏を披露。ゲストバンドだというのに聴衆は意外にもシビアで、曲によっては拍手をしなかったり、もちろんスタンディングオベーションもない時も。浅利くんはここまで反応が露骨だと恐い、、、と。次は私なんだけど、、、浅利くんどうしょう、、、と弱音を…。しかしスウェアリンジェン氏の笑顔に見送られ再び勇気を頂いて舞台へ。心配とは裏腹に生徒さんたちは私の指揮に本気で付いて来てくれました。サウンドの厚みが違う、鳴りも違う、多少危ないところはありましたが限界値を超える情熱的な演奏をしてくれました。コンサートミストレスと握手をして客席を振り向くと大きな拍手とスタンディングオベーション。私が日本からわざわざ来ているから歓迎の意味での拍手なのかもしれません、ですが笑顔で拍手を送る聴衆の姿を、全力で演奏してくれた生徒さんに見せることができて本当に良かったです。
演奏終了後に多くの方にお声をかけて頂きました。【マチュピチュ】は本当に素晴らしかったと。「あなたの作品はどこで売っていますか」「あなたのCDはアメリカで入手できますか」「今度は私の学校にも来て頂くことはできますか」「新作を書いて頂くことは出来ますか」と予想以上の反響で夢のような気分。振り向くと浅利くんは高校生たちにサイン攻め。私が共演した高校生たちも満足した表情で握手を交わして帰っていきました。そして、ブレーンの村上社長をはじめ日本人グループで祝杯をあげて本日終了!浅利くんと私は明日帰国しますが花花咲徳栄高等学校吹奏楽部はサンフランシスコに行き演奏旅行はまだまだ続きます。写真は今回毎日のように呑んでいたビールの銘柄。あまりにも美味しいのでスペルを教えて頂きました!次は12月のシカゴ。今回多くの人たちと再会を約束したので楽しみです!