☆ すべての生命を讃えて
札幌のホテルで目が覚める。あっ、もうホールに行く時間だ!今日は札幌コンサートホールkitaraにて陸上自衛隊北部方面音楽隊の定期演奏会があり、そこで創隊50周年記念委嘱作品【交響詩「母なる北方の大地 — すべての生命を讃えて」】が世界初演となります。午前中のリハーサル(写真)では体力をセーブした状態での演奏。スタミナの温存のため断片的なバランス確認のみとなりました。お客さんが満席になるようなので、今とはまた違った音に聴こえるだろう。どんな演奏になるのか正直現段階では判らない。先週の練習で作品に対する想いは隊長である澤野展之さん、音楽班長である山下顕さん、そして演奏する隊員の皆さんにはお伝えしたので、あとは私はその結果を見届けるのみとなりました。
会場となり次第にお客さんが入場。東海大学第四高等学校吹奏楽部顧問の井田重芳先生をはじめとする先生方や多くの中学・高校生の姿も多くみかけました。又、日本吹奏楽指導者協会副会長の野中図洋和さん、陸上自衛隊中央音楽隊隊長の武田晃さん、元・陸上自衛隊東部方面音楽隊隊長として【モアイ】【ラス・ボラス・グランデス】を委嘱してくださり初演して頂いた古荘浩四郎さん、元・陸上自衛隊第2音楽隊隊長として【コロポックルの棲む渓谷「神居古潭」】を委嘱初演してくださった加藤良幸さんといった豪華な面々。創隊50周年記念ということもあり全国各地から多くの方々がいらしていました。そして今回は母が北海道出身ということもあって、良い機会と思い両親で聴きに来てもらいました。小さな頃から祖父母のいた歌志内市へ何度も私は行く機会がありましたが、こういった形で両親と北海道にいることは初めてのこと。作曲生活10周年になる私にとって、そういった意味もあり気合いの入る本番となります。
作品は演奏会のトリとして演奏されました。約15分間、北海道の夏から春に向ける四季をドラマチックに描く作品。あえて最近使用していなかった【輝きの海へ】【はてしなき大空への讃歌】【稜線の風】といった初期の作風を基にした楽曲。それは単に音を並べるだけでは全く音楽にならない、指揮者の“こうしたい”という意志がダイレクトに出る作風で以前、【マチュピチュ】でエネルギッシュな指揮で感動的な演奏に導いてくださった澤野さんとの信頼関係で作曲しています。今回の演奏も素晴らしかった。リハーサルが体力温存のためにセーブしていたというレベルではなく、それとはまた別次元の世界観のある音楽創り。澤野さんも隊員さんも、心から躍動する音を生み出している。これまで生徒さんの演奏する込み上げてくるような演奏には何度も出会いましたが、それと同じように大人が本気で音楽をしている姿に想わず涙ぐんでしまいました。ここまで作品に気持ちを入れて演奏して頂き幸せです。客席の鳴り止まぬ割れんばかりの拍手に包まれて世界初演は成功に終わりました。
終了後は記念祝賀会。私もお話する機会を頂いたので、まずは私事ながら両親に良い親孝行が出来た御礼を言わせて頂きました。そして、今回の委嘱を頂くきっかけとなった音楽班長の山下顕さんとの出会い、人と人との縁のお陰で今回の作品が誕生したことへの感謝の気持ちをお話させて頂きました。澤野さん隊員さんをはじめ関係者の皆さんが本当に喜んでくださっていて本当に良かったです。私にとっても想い出に残る一日となり心より感謝しています。写真は左より山下さん、澤野さん、私、そして福岡から駆けつけてくださった九州女子高等学校吹奏楽部の出口貴浩先生。明日の朝は始発の飛行機で名古屋に向かうため名残惜しくも二次会は失礼させて頂きました。
ホテルに向かう途中、本日演奏会に聴きにいらしてくださった札幌山の手高等学校吹奏楽部顧問であり、大学の後輩でもある西澤先生に結婚のお祝いを渡していなかったことを想い出し電話。結婚式に先約の関係で伺えなかったのをずっと残念に思っていました。電話が繫がると、ちょうど奥様とショッピングとのこと。3人で軽くお祝い会をしてラーメン終止をしてホテルへ戻りました。西澤先生と奥様は今日の世界初演に立ち会えたことを本当に喜んでくださっていて「15分という長さを全く感じなかった」「春の場面では想わず泣いてしまった」と何度も熱く語ってくださり、嬉しい気持ちで札幌の最後の夜を終えることができました。関係者の皆様、ご来場の皆様ありがとうございました!